裁定取引

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裁定取引とは値動きの相関性が高い商品間で割高にあるものを売り,割安にあるものを買う取引のことを言います。売りと買いを同時におこなう事によって価格差を確定し、その後価格差が縮まったところで売ったものを買い戻し、買ったものを売却することで価格差分の利益を得る取引手法です。

裁定取引と聞いて、個人投資家の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、プロの投資家の間ではよく行われている取引です。

主に一方の株を買い、もう一方の株を同じ金額分売る取引のことを言うのですが、株式だけに限らず、指数先物を使ってA国の指数先物を買い、B国の指数先物を売る裁定取引を行ったりしています。

指数先物や債券、為替、コモディティなど様々なものの間で裁定取引は行われています。

先物を使った裁定取引

株価指数先物である日経225先物と原資産である日経平均株価に影響を与えるのか、先物と原資産の値動きはよく似たものになるのかは裁定取引が大きく関係しています。

日経225先物にまとまった大口の売り注文が入り、相対的に現物株が先物価格よりも割高になると、割高になった現物株を売り、割安となった先物を買えば、瞬時にサヤが取れます。

具体的には注文を出していた先物や現物の注文が約定すると瞬時に裁定取引をおこなうなど、大阪証券取引所がJ-GATE(高速取引システム)稼働後、更に裁定取引はおこなわれるようになりました。

このように日経225先物取引と原資産である現物株式の間で行われる裁定取引をベーシス取引といい、国内の証券会社や外資系の証券会社の自己売買部門、ヘッジファンドが活発に取引をおこなっており、近年の効率化したマーケットでは開くサヤの大きさは非常に小さなものとなっています。

サヤが小さくなればなるほど、先物と現物の価格差はなくなり、値動きは同じものへとなっていきます。

NT裁定取引

NT裁定取引のNTとは、Nikkei225のNと、TopixのTを表しています。

市場ではNT倍率と呼ばれ、NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割った数値のことをいいます。

このNT倍率を利用した裁定取引のことをNT裁定取引です。

なぜ日経225とTOPIXは違う動きをするのか

日本の指数先物は日経225先物とTopix先物とがありますが、それぞれ指数の計算に使っている株式数も違いますし、計算方法もかなり違います。

日経225は日本経済新聞社が、Topixの方は東京証券取引所がそれぞれ計算をして発表しています。

主な違いは分かりやすく図です

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日本を代表する2つの指数の計算方法が違うので、当然指数の値動きも違ってきます。

そこに目を付けたのがNT裁定取引というわけです。

日経225とTOPIXの業種比率の違い

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上記の表を見て頂くと分かるように、日経平均の方が(輸出企業の多い)電気機器、情報通分野の比率が高く、為替の影響を受けやすくなります。

逆に銀行業分野はTOPIXに比べずっと少ない比率です。

つまり為替が円高方面に進むと日経225の方がTopixよりも弱くなり易く、逆に銀行業分野が買われると日経225よりもTopixの方が強くなり易いのです。

これらの特徴から、為替の動きや、時価総額上位の企業の動き、日銀による買い入れ等、様々な理由による相場の歪みを利益に変える取引をNT裁定と言います。

日本市場の6割をしてると言われている外国人投資家や、機関投資家は運用する金額がとても大きいので、流動性に優れた指数先物を使って売買をしていますが、指数先物が存在するからこそNTの差が広がり易くなるのもまた事実です。

裁定解消の売りに注意

一般的に裁定取引はSQ日に精算という形で解消されます。しかし、SQ日を待たずに先物と現物との間に開いていたサヤが縮小した場合は、サヤが広がっていた時にポジションを取っていた投資家から、利益確定の注文が入って解消されることもあります。

先物取引はFuturesと訳されるように原資産である日経平均株価よりも「先」に価格が動く性質があります。

上昇相場では、まず先物に買いが入り、その後裁定取引によって現物株へも買い注文が入り、相場が上昇していきます。

この時、裁定取引を得意とする裁定業者は割高になった先物を売り、割安な状態である現物株を買う取引をおこないます。

その後、日経225先物と日経平均株価とのサヤが縮まると、裁定業者からの裁定取引を解消する注文が入り、相場を崩す要因となります。

そのために裁定取引をした時に、ヘッジファンドや機関投資家が売買した現物株の残高を計算したものを「裁定残」というのですが、裁定残が積み上がると相場のプロは相場の上昇に限界を感じたり相場の反転を警戒したりします。

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